One Day Thought
強い雨垂れ の音が
地面から 立ち上り
窓額を通し
瞼のとても 近くに映る
空の銀幕にまで
響いているようだ
明るい灰色の ヴェールに
包まれた 空には
仄かなグリーン の色調が
美しく 一面に広がり
でも銀幕の ヴェールは
ひと時も 撓(たわ)むことなく
異様な 白い光だけが
充溢している
朝からの雨に
霧に 包まれたように
森の全て の木々が
梢の緑葉を 露に濡らし
朧(おぼろ)な 森の姿は
全く静止して いるかのようだ
風の音は
何処からも 聞えず
時の止まった
銀幕と梢の 緑葉の間を
光だけが 静かに戯れ
何時しか 終わる
夏の朝の 幻影が
瞼の ヴェールに
燈されている
永遠と瞬時 の狭間に
Memory in Moment